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「第一、ここに会社関係のものはありません。
ここにあるので、重要なものって――
ああ、レシピくらいですかね」
と月花は笑う。
「さっき、下拵え手伝ったとき、今日の料理のレシピ、もらったんです。
雑炊屋さんとスープ屋さんと焼肉屋さんに」
「……料理は、結構するのかね」
「いやー、しないんですけどね、私も専務も」
はは、と笑ったところで、会話が途切れてしまった。
なかなか奥様出てこないと思ったら、お手洗いの中で誰かと話しているようだった。
笑い声が聞こえてくる。
圧のあるおじさんと横並び。
沈黙に耐えかねた月花は、
「……最近どうですか?」
と思わず言って、
「いつも顔合わせてるじゃないか」
と言われてしまう。
また会話が終了してしまった。
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