きみとぼくの彩

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「40%って傘いる?」 「予報は外れるよ、いる」 予報は外れるといったあと ぼくは自分の出した言葉に すこしびっくりした いつから100%のうちの 40%さえも外れるものと きめつけていたんだろうって 君は「大丈夫でしょ」と言って 傘をもたずに出かけていく おかげで午前中は 空ばかり気になったんだ お昼をまわったころに 降り出した雨音に ちょっとため息をついていたら スマホが少し振動した 「家に入った途端降り出したっ」 「わたしの予報はあたりだね」と のんきなメッセージがきた 彼女はいう 空が泣くように ゆるやかに どこか寂しい雨粒をおとす時は 心のどっかがチクチクする 空が全てかき消すような 大きな雨粒を降らせる日は 心がざわついているのに 静寂の時間がある そして強い風が 様々な感情を 揺さぶるようにして吹いたあと 痛いくらいに雨粒は 刃のように降り注ぎ 一瞬にして景色が変わる ぼくには さっぱりわからないけれど 五感で話すクセがあるきみは 時々異世界からきたかと 笑う日もあれば 呆れる日もあるのは秘密だ ________________ 幾度となく 心の中の彩は 修復するように 白色を上から塗って いつのまにか 白色で覆うごとに そこだけ凸凹になっていく わたしは ひらりと裏側から 塗りつぶしてきたところを見る 消えてないじゃないか 歪な彩は 薄っぺらいのものには しっかりと痕跡を残していく 時計の秒針がやけに耳障りだ 薄っぺらいを 破ってしまえたなら それでも確かな時間があって いつかなにかの欠片になるって 破かないで大切にしまう 頭ではわかるんだよ 彩をつけていく土台が 裏側からみてもみえない位に 分厚かったなら それは信頼や尊敬と あなたを想う気持ちを 積み重ねた揺るぎないものが 土台であったなら 薄っぺらくしたのは だれなんだろうね 揺らいでは迷子になって 遠回りしては またあなたの背中を探して 一緒に彩をつけたくて 走ってはすれ違って 止まっては見失って 歪な彩をみながら この複雑な彩が いつの日にか あなたとしか出せない 魔法のような彩になるように 塗りつぶして 白にするよりは たまには ありのままでも いいんじゃないかな たまにはね ______________ きみの彩をみたい あなたの彩をみたい 互いの彩が少しずつ うまく合わさっていくように パズルみたいな 歪な欠片をみながら ぼくは わたしは 自分と向き合って その先で互いに 待ち合わせしようよ どんな彩をみつけた? きみが 嬉しそうに 心のパレットを 開いている横顔を 優しい雨音のなかで もう少しぼんやり眺めていよう さようならを 言わないのは 一緒に生きる 未来を願ってるから 願うのは勝手でしょう 人生の予報は 誰にも推測しきれない だったら 最適解は 純粋にいま 感じるように 鼓動をならしていこう 不器用そうな 足音でも すすんだら いつかは本当にかわる 変わらないかもだけどね 強がって拗ねたようにしか 今はいえないけれど いえるようになったんだよ 魔法に魅せられるように あなたに きみに きっと魔法をかけてみよう
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