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その時、隣にいたステファンが、言った。
「ボクガ、ハコビマス!」
そう叫ぶや否や、ステファンは、ハナばあちゃんを、軽々と抱き上げた。
「ぎゃーー!」
ハナばあちゃんは、死にそうな人とは思えない悲鳴を上げた。
「な、なにするだあ?! この外人は!」
この山陰のド田舎の村では、生の外国人を見ることさえ、ほぼない。
だが、一週間前、このスウェーデン人の金髪ロン毛で青い瞳のステファンが、ホームステイで、我が家へ来たのだ。
あたしも含めて、初めての外国人である。
もちろん、ハナばあちゃんも初めてで、それに、第二次世界大戦で、「異人は青鬼のようだ」と教えられていたので、それをすっかり信じ切っていた。
その青鬼に、お姫様抱っこされているのだ。
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