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私のポケットの中には、おじさんの裸の写真が入っている。
中学三年生の頃だった。強く雨は降っていた。雨はいたく降り、もちろんのこと傘をさして塾から帰っていた。その頃の私はやはり受験シーズンで某河合塾へ通っていたのだ。
地面を叩くみたいな雨だった。それが私の心情と全くもって同じだった。
前の方から、大きなコートを羽織っている顔のよく見えないおじさんのような人がやってきた。こんなに雨も降ってるのに、傘持ってないあのおじさん、大変だなあ。と思っていた時、
大きなコートをばっと開いて中身を見せた。
お父さん以外の男の人の裸を見るのは初めてだった。
私はなんやかんやのことでこんなに辛くて、人の目だって怖くて仕方ないのにこんな世の中と言ったら、女子中学生に裸見せつけることを楽しみとするような人もいるんだ。
私が泣き出したのは恐怖からじゃなかった。
うう、えげぇ、しにたいぃ
と確かえずきながらおじさんに言った。するとおじさんは、お父さんみたいな顔をしていた。そんなつもりはなかったらしく、慌てて、
「え、いや、大丈夫!?」
と裸見せといた分際でのたまったのだ。
それがおじさんとの出会いだった。
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