6.淡雪の空の下で

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「なんでそんなことを……間違えれば王家への批判にも繋がるかもしれないのに」 「開示した直後はもちろん批判もあった。他にも隠していることがあるんじゃないかとも言われた。だから、国民には情報を開示していくと宣言したんだ。まぁ国民が混乱することは開示できないけどさ。せめて伝えられることは伝えていく。そのせいで罪のない人が悲しい想いをして欲しくないから。それが志なかばで死んだオレにできることだった」  イチハツは死んでいない。生きている。じゃあなんで志なかばで死んだなんて言うのだろう。  私を見たイチハツが悪戯が見つかった子供のように笑う。 「ねぇ、アザミさんはオレが前世の話をしたの覚えてる?」 「うん。イチハツが変な話をしたなと思ったから」  どうして今その話をするのだろう。 「それはさ、オレに前世の記憶があるからだよ。オレの前世は、おとぎ話で語られた病と闘い、病に倒れた悲劇の王。そしてアザミさんの親友だった人間だよ」 「え……」  人は思いもよらない話をされると思考が止まってしまうというのは本当だったようだ。  言葉が見つからない。イチハツの話を理解できない。
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