夜は太陽を捨てたから

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時は遡り、およそ1万年前 科学技術が栄えていた頃 とあるビルの会議室にて、 「太陽を神にしましょう!」 「どうして太陽なんだ?」 「人類が生きている間に太陽が消滅することは考えにくいじゃないですか。なので信仰対象として相応しいと思って。」 「未来では存在しないものを信仰対象にしても困るからな。後、地球にいればどこからでも見ることができるから、知らない人がいないというのも良いポイントだ。」 「私も太陽を神にすることは賛成ですね。」 「よし!じゃあ人が近づかないようにするために、その周辺は太陽神の領域であるということにしよう!現在よりも科学的に未発展な世の中になったとしても、宗教として伝えていけば、誰も近づかないだろう。」 「それだけで大丈夫ですか?監視する人間も必要でしょう。」 「それなら、太陽神を代々信仰して、神域への侵入者がいないかを監視することが生業の一族を配置しよう。初代の監視者にだけ、人を近づけないようにするためのプロジェクトであることを説明しておこう。」 「周りの人間は不審に思わないですかね?」 「現段階で移住していく人間が後を経たないらしいから、その点は問題ない。じきに監視者一族しか住まないようになる。周りの土地も全て買い占めてしまおう。」 「人間なので監視の目に抜け穴があると思うのですが、それについてはどうしましょう?」 「立て看板を立てておけばいいだろう。」 「どのような看板ですか?」 「『これより先は太陽神の領域です。そのまま歩みを進めればあなたは死ぬ。』とでも書いておけばいいだろう。」 「未来では言語が変わっているかもしれませんよ。」 「監視者の一族に、看板を更新させればいいだろう。継承の儀式にでも織り込めば代々伝わっていく。」 少しの間、会議室を静寂が包んだ。 すると、リーダーらしき人間が話し始めた。 「まとまったか?それでは本格的にプロジェクトをスタートさせる。未来の人類を守る責務が我々にはある!もし世界が滅んで、核の危険性を知らない文明になった場合、核廃棄物の最終処分場に誰も近づくことが無いようにしなければならない。何も知らずに近づいて使用済み核燃料が入った容器を開けられてしまうと困る。何と言っても、核廃棄物が人体に影響が無いようになるまでには10万年かかるからな。」
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