夜は太陽を捨てたから

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「グノーシさん!すごいですね!」 イグノアは興奮しながら話しかけた。 「え?」 「父に対して、あそこまで強気に話しかけることができるなんて!しかも私が知らない情報まで引き出せていましたよ!」 「どれが初めて聞いた情報だったの?」 「古代技術のことですよ!」 「その情報ね。あれは確かに驚いたわ、まさか自分の研究分野の話が出て来るなんてね。」 「研究分野?」 「まだ言ってなかったね。私、古代技術が専門分野の考古学者なのよ。」 「学者さんだったんですね!だからあんなに弁が立つのか...」 「いや、そういう訳ではないけど...さっきのは単純に秘密にしている内容が気になったから、何としても知りたくなってね。」 「そうだったんですね。僕も気になったのですが、古代技術ってどういったものなんですか?」 「古代技術も多くの種類があるから、これ!と断言するのは難しいのだけれど...イグノア君は、人類が一度滅亡しかけたことは知っているよね?」 「はい。人間同士の争いで地球上からほとんどの人間が消滅し、その時にそれまで築き上げてきた技術が消滅してしまったんですよね。」 「その通り。古代技術はその時に失われた技術のことなんだけど、その種類が多すぎて、先ほどイグノア君のお父様が仰られた古代技術がどれに当てはまるかは分からないんだよね。」 「そうなんですね...」 「だから、目で見て確かめるのが早いよ。」 「え!でも、死んでしまいますよ?」 「イグニア君。人類滅亡寸前までいった戦争があったのって何年前だっけ?」 「えーっと、1,000年前ぐらいでしたっけ?」 「いや、もっと前だよ。約1万年前。」 「そんなに前なんですか!桁違いでしたね。」 「そう、気が遠くなるほど昔の話なんだ。だからロマンがあるんだけどね。」 「いくら優れた技術であっても、そこまで時が経ってしまえば、機能しないですよね? 何か侵入者を迎撃するための設備が整えられていたとしても1万年も経てば動くはずがない!」 「そういうこと。だから神域に侵入して、お父様に見つかったら殴られる可能性はあるかもしれないけれど...」 「死ぬ可能性はないってことですね!」 「ただ、お父様が監視している以上侵入することは不可能だけどね。」 「グノーシさん。」 イグノアは改まった表情で彼女に話しかけた。 「どうしたの?」 「実は、今晩の監視者は僕なんです。今日18歳の誕生日を迎えたため、初仕事を任せられています。」 グノーシは嬉しさを抑えきれない顔をイグノアに見せた。 「もし良ければなんですけど、一緒に神域へ入りませんか?」 「もちろん!私は良いんだけど、君は大丈夫なの?」 「僕、この家に不信感があるんですよね。 気になることがあって父に質問したとしても、 そんなことは気にせずに監視者になれと言われ続けてきた人生なんです。 せめて太陽神がどういった存在なのかは自分の目で確かめてから役目を果たしたいんですよ。」 「そういう思いがあったんだね。」 「そこで、古代技術に詳しいグノーシさんと神域に向かえば太陽神について知ることができると思いました。お願いします!一緒に行ってくれませんか?」 「もちろんいいよ!こちらこそよろしくね。イグニア君は太陽神の秘密を、そして私は古代技術に繋がる秘宝を見つけ出すよ!」
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