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「これより先は太陽神の領域です。
そのまま歩みを進めればあなたは死ぬ。」
アトモス家が暮らしている住居の後ろには、
そのように記された立て札がある。
普通の人は不気味がり、その家に近づこうとしない。
アトモス家は太陽神を信仰し、その神域へ侵入する者がいないかを監視する役目を代々担っている。
物心がついた頃、次期後継者であるイグノアは父親にそう教えられた。
その時に教えられたことがもう一つある。
それは18歳になった時に成人の儀を行うことだ。
その内容は立て札の更新である。
「これより先は太陽神の領域です。
そのまま歩みを進めればあなたは死ぬ。」
と書かれた看板を作らなければならない。
全く同じ内容だ。
どうして同じものを作るのか、
その理由をイグノアは父親に質問したことがある。
「言語は時代によって変化するため、現在最も使用者が多い言語で文言を記述しなければならないからだ。」
当時その答えを聞いた幼きイグノアは意味が分からなかった。
むしろ、そこまでして伝えなければならないメッセージなのかという疑問が増えた。
明日、18歳の誕生日を迎える彼はその意味を理解できるのだろうか。
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