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エピソードⅠ 謎のイケメン御曹司
その男は、完璧だった。
身長は、確実に185センチはあり、スラリとした体形だが、しっかりと筋肉が付いているのは、仕立てのいいスーツの上からでも分かった。
茶色がかった髪は、綺麗に整えられているが、はらりと一房だけ額に落ちている。
その髪が、かかった瞳は、すうっと弧を描き、穏やかに笑っているように甘い。
な、なんだ?!
この人!
これで、日本一の造船会社の御曹司だってえーー?!
か、完璧すぎる……。
この完璧すぎるイケメンが、信じられないことに、今、あたしとお見合いをしているのだ!!!
自慢じゃないが、あたしは、ごく普通の会社の事務員で、容姿も、ごく普通の美人でも不細工でもない、ありふれたものだ。
おまけに婚期ギリギリの女である。
そのあたしが、何故にこんな、信じられないくらい高物件のお見合いをしているか、というと……。
このイケメン御曹司は、どうも、いわゆる「ワケあり」のようで、今回のお見合いが、101回目なんだそうである……。
今までの100回とも全部、相手から断られたそうだ。
この高物件すぎるイケメンを断るワケありとは、いったい何なのだ?!
あたしは、美しく微笑むイケメン御曹司に、クラっとしながらも怯えた……。
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