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エピソードⅡ 101回目のお見合い
「あ、あの、このお見合いが101回目とお聞きしましたけれど……」
「えっ? ああ、そ、そうなんです」
完璧な微笑みを浮かべていたイケメン御曹司の表情が、一瞬崩れた。
むむっ!
ここは、突っ込むべきところだ。
「100回もお見合いをして、すべて、お相手の方から断られたそうですね」
あたしは、強気になって訊いた。
お見合いの目的は、もちろん結婚である。
結婚といえば、人生の一大事だ。
結婚してから、相手の男が、ロリコンの変態だったとか、ゲイだったとか、殺人犯だったとか、分かってももう遅いのだ。
このイケメン御曹司、見かけによらず絶対、何か変なところがあるはずだ。
じゃなければ、100回も、断られるわけがない。
このまま、見かけに騙されてホイホイ結婚して、新婚早々、離婚して、バツイチなんて御免だ。
あたしは、もう、28才なのだ。
これといって、取柄のないあたしは、結婚も、真剣に考えざるを得ない年なのだっ!
バツイチなんて、絶対にご法度だ!
ああ、そう言えば、このイケメン御曹司の年はいくつなんだろう……。
「都築さん、お年は今、おいくつですか?」
イケメン御曹司の名前は、都築 貴文というのだ。
名前まで、カッコいい。
「今、29才です。今年の7月の誕生日で、30になります」
ううむ、29なら、そんなに結婚を焦る必要もないだろう……。
やはり、何か、ある?!
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