○月○日 食料配布

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○月○日 食料配布

ブォンブォンブォン! ブォーーン・・・ いつもの如く、寝床のすぐ横を走る車の音に起こされる。 その距離約1.5メートルほど。 時計に目をやるともう昼過ぎを回っているは。 扉を開け、目と鼻の先のビルの下には約三百人という大量の人が集まっている。 "そうか、これが先輩の言っていた食料配布の日か・・・" マサオが来てから大体三週間が経過していたが、土曜は人が多くいるなという程度の感想しか持っていなかった。 余程興味がなかったのだろう。 配布時間まで約40分の空き時間。 様子を伺い、列に荷物を置いて場所取りをして一度寝床に戻る。 こういう時、近場で何かあると便利だなと初めて地の利を生かした行動を取れたと感じた。 この時間を使って、扉を半開きにして寝床内の換気を始める。 段ボールの塊とは言え、彼にとっては家なのだ。 路上だろうが関係ない、自宅にいるような振る舞いをする。 横を通る見知らぬ人々の事など気にせず、マサオは時間が来るまで暇をつぶす。 カラーン!と、空き缶の中に小銭が入る音が響くも、これも慣れてきたのかあまり気にならなくなった。 「おーい。頑張れよー!」 見知らぬ人サラリーマン風のからだ。 多分隙間から中身が見え、その様子が珍しいから人が居たから声をかけたのだろう。 「はーい・・・ありがとうございます。」 マサオは適当に返事を返すも、この『頑張れ』という言葉が今の彼にとっては耳にするだけで心が痛くなる言葉だったのだ。 悪気のない相手からだからこそ、余計にそう感じた。
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