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一週間前の事だ。
俺達ロシア海軍は、突然謎の目まいに襲われ、気がついたら見たこともない場所に基地ごと移転していた。
俺達の目の前には、広大な海が広がっている。
その光景だけを切り取れば、ここに転移する前の北方艦隊基地とあまり変わらないように思う。
だがそれ以外の世界は、前に居た世界とは大きく異なっている。
基地の周りには広大な荒野が広がっており、なにより本来の北方艦隊基地があった、シベリアの身を切るような凍てつく寒さは、ここでは感じられない。
基地内の設備は、非常用の発電機等を活用する事によって、問題なく基地としての機能を維持する事も出来ている。
幸いにも燃料や食料。武器弾薬などは、しっかりと補充を受けたばかりの状態だったので、当面その辺りの事で窮地に陥る心配はないだろう。
しかしどんなに基地内の物資が豊富でも、新しく生産する事をしなければ、いずれは尽きる。だから我々は、この状況になんとか適応しようと、この土地の調査も、他のあらゆる事と同時に進めていた。
空気中の酸素や毒素の量。
土壌の状態や成分の把握。
海水の水質調査。
などなど、自分達が生きていくために必要な調査をコツコツと行ってきた結果、水質も土壌も、現地でとれる食べ物も、全て人体には無害である事が分かった。
それどころか、この世界でとれる果実や生き物は、全て元の世界のそれと完全に一致していたのだ。
となれば、急務となるのが飲水の確保である。
だがこの広大な土地の中で、どこに水が流れているかなど分かりやしない。
そこでロシア海軍司令官は、この基地に配備されているアドミラル・グズネツオフ級空母に、戦闘機の発進命令を出した。
目的は上空からの情報収集と、近隣の大まかな地形の把握。
そういった目的で偵察活動をするなら、戦闘機は最も機動力が高く、何よりも早く移動できる特性を持っているため、こういった場合の偵察任務にはうってつけの存在となるのだ。
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