14人が本棚に入れています
本棚に追加
彼女達の話を聞いたベアは、その話にかなりの憤りを感じたのと同時に、ふと疑問を思いついた。
俺達は、今もこの世界で食事をしている。
という事は、俺達も彼女達のように、この世界の病気にはかかっていないと言う事になる。
つまり、このままこの世界で生きていれば、俺達もこの世界の政府とやらに抵抗しなければ、皆殺しにされてしまうと言う事になる。
そう考えた時、彼女達は数少ない我々と同じ立場の人間で、敵の存在や武器がどういう物か分からない以上、彼女達の協力を取り付ける事ができれば、敵の全容を解明し、政府組織に対する反撃手段を考える近道になるのは間違いないと、ベアは考えた。
そしてベアは、なんとか彼女達を説得して、自分達の仲間に引き入れようと考えた。
問題は、彼女達をこちら側に引き入れる手段だ。
今後の事を考えても、なるべく手荒な歓迎をしたくはないし、かと言ってせっかくのチャンスを棒に振る訳にも行かない。
その辺りをどうするかと思案を巡らせているベアの元に、一人の兵士がパソコンを持って近づいてきて、そっとベアに耳打ちした。
その時ベアは、咄嗟にある事を閃くと、兵士が持ってきたパソコンを彼女達に見せながら、とある提案をした。
「画面上にある真ん中の×印が、今俺達が居る場所。この遠くに見えるいくつかの赤い点は、俺達が仕掛けたあるセンサーに引っかかった者たちの痕跡だ。恐らくだが、これは君たちが言っていた政府の人間だと思う。時間がないので手短に言う。恐らくこいつらは、君達の存在を嗅ぎ付けた殺し屋だ。だが、俺達はこいつらと対峙する訓練を受けている。そこで提案だが、俺達がこれから君達の身の安全を保証する代わりに、君達は俺達の拠点に避難して君達が持っている彼らの情報を我々に提供して欲しい」
このベアの提案に、男性の方は多少訝しげな反応を示したが、政府という言葉に怯えきって震えている彼女の姿を見た途端に心変わりしたらしく、ベアの提案を承諾した。
最初のコメントを投稿しよう!