人が人であるための権利を奪われた世界で

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「ライガー。敵の襲来時刻を計算しろ。他の者は戦闘準備にかかれ。ベルーガとアンバーはこの小屋の斜め前方の左右から、この小屋を見下ろせる位置を探して待機しろ。他の者はライフルの射程圏内を維持できる距離を保ちながら建物の左右と後方に展開し、身を隠しておけ。アルファチームは俺と来い。建物右側のブラボーチームはライガー、左側のチャーリーチームはブリッツと行け。敵がこの家を襲撃しようとしたら、包囲して突撃する。スペツナズの力を思い知らせてやろう」 ライガーが予測して導き出した敵の到達時間は、15分前後。 敵を迎え撃つための準備時間としては十分な時間ではあるが、予測はあくまで予測である。 よってベア隊はすぐに作戦行動へと移り、ベルーガとアンバーはスナイパーライフルを肩に担ぐと、ベアの指示通りに小屋を斜め前から見下ろせる位置を探して走り出した。 他の者も続々とベアの指示通りに散らばっていく。 間もなくして各隊からベアの元に配置完了の一方が届くと、それから5分程経過した所で、この世界の政府の人間らしき集団が姿を表した。 人数は15人。 2列で行進する隊列の一番後ろを一人で歩く男が、この隊を率いているのであろう事はすぐに想像がついた。 対するベア隊は、すべての隊員が物音一つ立てずに、まるでハイエナの如く銃の照準を敵に合わせて茂みに潜んでいる。 ベア自身もしっかりと茂みに隠れながら、まずは敵の様子を探った。 奴等は彼女達が身を潜めている小屋の前に到着すると、鍵がかかっている小屋の扉を派手に壊し、小屋の中から泣き叫ぶ彼女達を無理やり連れ出す。 その後彼女達に罪状のような物を一通り読み上げると、まずは彼女のパートナーの男の頭に銃を突きつけた。
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