嘘つきな唇に…

1/1

111人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ

嘘つきな唇に…

おれに早く堕ちて いつもそう願っていた―――…。 グチュッ グチュッ … セックスの途中で悠生が意識を飛ばした後も、おれは抽挿を止めない。 悠生の華奢な腰を引き寄せ、まだ欲望が収まらず猛るペニスで、本能のまま腰を振る。 汗ばむ悠生の額に貼り付く髪を避け、うっとりと寝顔を見つめる。 「悠生は、本当可愛いね」 この全寮制男子高校の入学式の日に、おれは天野 悠生に一目惚れをした。 ラッキーな事に同じクラス。 寮の部屋は基本2人部屋。 その部屋も同じになった。 少し茶色の柔らかな髪、くっきり二重瞼の綺麗な瞳。自分は女顔だから嫌だと拗ねていたのが可愛いらしくて、愛おしかった。 「……っ、はぁ…っ、ぁっ」 悠生の中に何度も深くまで突き挿れて、中を擦り上げながら、あの日の事を思い出すと自然と笑みが溢れる―――――…。 『ちょっと気になる奴がいるんだ。男なんだけど。そういう、まぁ、…恋愛?って意味で…さ。 もし付き合う事になったら…と思うと、男とセックスなんて初めてだから、迂闊に手を出せないんだ』 『じゃあ、ぼくが練習台になってあげようか?男同士って興味合ったし』 「あんな嘘、真に受けて…あんなこと言い出して。嬉しい誤算だったよ?」 気付いてたよ? 悠生が、おれの事 好きなことなんて。 好きを必死に隠してるつもりでも セックス中に、悠生以外の名前を呼ぶと泣きそうになる悠生。 その顔が堪らなく唆る。 だから、おれからは言わない。 ゆっくりと解らせてやろうと思っていたのにな……。 嘘で気になる奴と言った相手は、1年の 安川 伊織。 この全寮制男子高校の中で1番可愛いというどうでもいい噂。そいつがおれに好きだと纏わり付いてきた。 だからそれを利用した―――…。 アイツが悠生の変わりなんかに到底なれるはずがないのに。 おれと伊織が一緒の所を見て、 悠生が顔を顰(しか)めて慌てて逸らした時も おれを見て嬉しそうに笑う顔も 感じて善がる顔も 縋り付く手も ゾクゾクするほど愛おしいよ―――…。 おれが欲しいのは、悠生だけ 早くおれに好きだと言いなよ。 でも、そろそろちゃんと解らせて、掴まえておかないとダメだろうな――――… 悠生、目が覚めたら 呼んであげるよ 今度こそ本当に愛おしい名前を 「―――悠生、…愛してる…っ」 そう言っておれは悠生の中で何度目かの白濁を吐き出す。 眠る愛おしい悠生を抱き締めて、 悠生の唇にそっと優しく口づけを贈る――――… ―― END ――
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

111人が本棚に入れています
本棚に追加