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それは、目が覚めた時のような、ぼーっとしていたときから意識が戻ってくるような、そんな、何とも奇妙な感覚だった。
「え?え?」
混乱して棒立ちのニクロス、迫る大剣、その血飛沫が赤黒い扉を、一層濃くさせた。ニクロスは、そうしてその一生を終えた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「な、何が……!」
間一髪のところでボスの袈裟斬りをしゃがんで避ける。
「生きてる…のか?」
ボスの振り下ろしを避けながらそう呟く。
「とにかくコイツをどうにかしねぇと……な!」
ボスの振り下ろしをその剣で受け流す。
(よし!)
ボスの体勢が大きく崩れた。右足で踏ん張っているおかげか、転倒してはいないが、大きなチャンスと言えるだろう。
斬れるのであれば。
「浅ぇっ!」
ニクロスの斬撃はボスの足の筋肉を浅く斬り裂くのみで終わった。
「ゴァァァアアァ!」
大気を震わせる咆哮と威圧。それは、弱い餌が、獲物に変わる瞬間だった。
(咆哮か!よりによってこんな時に…)
ニクロスはボスを斬るために、近づいていた。当然、ボスの大剣の射程距離に収まっている。そうして、ボスの横薙ぎでその一生を終えた。
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