マルチナ登場

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部屋を出ると、ハイが教えてくれた。 「あれがマルチナだ。彼女はあのぬいぐるみが宝物なんだ。いや、あれがないと何も出来ないレベルだ。あの綿の中には親の愛が詰まっていると言われたことがあると教えてくれた」 ジョージは、面倒だと感じたことを恥じた。 「ただ、話を聞く限りろくでもない両親だったらしいがな」 そうだろう。彼女の部屋にあるブランド物はひどい扱いだった。修繕して質屋に売ってしまったほうがものも幸せだろう。なにより、自分を大切にしていない荒んだ雰囲気が伝わってきた。 墓場の休憩所で出会った彼女は可愛らしくも感じたが、今の彼女は化け物だ。どちらが本当だろうか。
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