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Act3.アイドルのカノジョになりました
私立桜峰図書館は、一階が大人向けの本のコーナー、二階が児童書コーナーとなっている。
日曜日。絵本が並んでいる広間のとなりの二階の窓辺の席で、あたしは小説を執筆していた。
ある程度の登場人物の設定とストーリーの流れが決まったら、まずは鉛筆で紙に書く。そのあとでパソコンでうちこむのがあたしのスタイルだ。
一度書きあがった物語をもっとよくするためにつけたしたい場面を、今日は手書きで書き出すことにしていた。
机の前のルーズリーフに、びっしり文字を埋めていく。
本日のシャープペンの走り、快速なり。
死神と名乗る不思議な少年に死のうとしていたところを邪魔されて、そしてクリスマスの街へ繰り出す少女音乃。きらきら光る夜の町のカフェで、二人は満月色に輝くレモネードを飲む――。
そこまで書いたとき、ふいにペンが止まった。
真冬のクリスマスの時期にきんきんに冷えたレモネードは……あんまり飲まないかな。
代わりの飲み物はなにがいいだろう?
しぶーいほうじ茶? いやいや。
読者さんの憧れをかきたてるようにおしゃれなものじゃなくっちゃならない。
そうするとなんだろう。
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