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まぁ、地味系女子のあたしと違って、夏陽が男女ともに人気があることを鑑みると、真っ向から否定もできないかな。
さばさばしてはいるけど、これで夏陽はけっこうかわいいからな。スタイルもいいし。
一部男子の間で隠れ美女の称号を授かっていることを知っていたりするし。
一人もんもんとうなっていると、隠れ美女はあれ? と小首をかしげた。
「てっきり、あんな偉そうな男お断り! って言うかと思った」
「うん。そうなんだけどね……」
「だよね。出会いの時点で反発しあうってのは、恋愛ドラマのセオリーだもん」
「夏陽、ひとまずちょっと一旦、ロマンスの世界から帰ってこようか」
あたしの頭をかすめたのは、無論そういうことではなく――あいつがあたしの小説に関して言ってたことだ。
舞台にいたロックバンドの彼が一瞬で座席のヒロインのもとへ飛んでいくことは不可能。
あれはたしかに、一理ある。
舞台のしかけの甘さは、自分でもうすうす気にかかっていた。
それに彼は、仮にもネットの海で一番にあたしの小説に目をとめてくれたわけだし。
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