Act5.アイドルは恋愛小説にハマっています

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 ペンライトやメンバーの名前が書かれたうちわを持ってる人、エクレールのメンバーの顔写真入りのTシャツを着ている人までいて、気合入ってるなーって感じだ。  もちろん気概では、あたしのとなりにすわっている親友も負けてはいない。  学校から帰ってから着替えたそのおしゃれな服が、さっきから気になる。 「白いレースのカーディガンに、花柄スカートってさ」 「なに? 変かな?」 「いや、すごく似合ってるし、いいんだけども」  めちゃめちゃデート&モテ意識コーデじゃないですか。  そうつっこむと当然というように夏陽は陶然と手の平をあわせて、 「あたしの姿が藤波くんの目に入る可能性だってあるのに、気を抜いた格好なんかしてられますか」  そう言うと、今度は夢見るように拳をあごにあてる。 「彼よくライブで叫んでくれるんだって! 『みなさん、ようこそ! 上の方もよく見えてるよ!』」  いや、それはさすがにみんなのファッションまでという意味ではないと思うけど。 「ここまでけっこう道中長かったのに、そんなかかとの高いパンプス履いてきて~。帰り痛くなっても知らないぞ」
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