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うんざりだ。あたしは頭を振り乱す。
死ぬなんて親不孝だ。
生きたくても生きられない人もいるのに。
そんなキレイごとなんてもうたくさんだった。
たとえ親不孝でも、世界に生きたくても生きられない人がたくさんいようと。
あたしはもう限界だった。
その事実は変わったりしない。
「あぁ。それは、オレ、死神だからさ」
そのとき、上空の雲が通り過ぎて、太陽の光が屋上を照らした。
少年の金の瞳がかすかに光って、かすかに微笑んだ口元から、言葉が気まぐれのようにこぼれる。やりたいことがあったんじゃないの、と。
「いいの? 人生のデザートを味わってからじゃなくて」
その大胆不敵な笑顔と、雲が去ったあとの空が、脳天を貫いた。
突然の雷か、鉄砲を撃つ音か、ファンファーレのように、思い出した。
ひとつだけ。
学校でいじめられるようになる前まで、やりたいと思っていたことを。
「あたし……恋がしたいんだ!」
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