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「お任せください。同期で事務所に入った僕は、彼のことは知り尽くしております」
ふられた藤波くんがおどけた丁寧語で応える。
「ずばり、九十パーセントカカオチョコレート!」
うげっと、成瀬君が顔をしかめた。
「あのにがーいやつ? なんで純って、極端な味が好きなの。めちゃめちゃ辛いのとか苦いのとかさ。舌が死んでるのかと思うよな」
「あえて言えば刺激だな」
しれっと答える純に美谷島くんが問いかける。
「さて、正真のこの答えは正解なのか……!」
純が意地悪く笑った。
「残念。それは三カ月前までのマイブームだ。正解は――」
ふっと、彼が目を細めて笑った。
このうえなくつやっぽい演出をきかせて、囁くように言う。
「恋愛小説」
――。
舞台の上の彼と、目があった気がした。
しばらくあたしは射抜かれたようにぼーっとしている。
気がつけば客席からきゃーという歓声が響いて、メンバーのみんなはお腹をかかえて笑っている。
ひときわ無邪気に笑っていたのは最年少の愛内くん。
「純乙女! 読みながらキュンキュンしちゃうんだ?」
胸の前でハートマークをつくる愛内くんに、
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