Act5.アイドルは恋愛小説にハマっています

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「ちげーよ。出演してる恋愛ドラマの研究にだよ」  あからさまに顔をしかめる純。そこへさらに成瀬くんがたたみかける。 「正直言っちゃえ。ほんとはときめいてるっしょ?」 「純、メンバーの僕たちでは、ときめきの補充に不足かな」  藤波くんが女子たちの歓声を引き連れつつそう言って。  最後に純が一言。 「……今のは、ちょっとどきっとした」  ひと際大きなファンのみんなの歓声が起こる。 「といったところで、クイズ一路純のコーナーでした。では次は、ソロパートいってみよう~!」  たぶん今流れてきた音楽は、メンバーの誰かのソロ曲の前奏なんだろう。  未だにじんじんと焦げ付くような頭で、あたしはぼんやりとそんなことを思った。
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