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Act1.小説の感想がもらえた!
今日の分の執筆の手を止めて、さっき淹れた紅茶を口に含んだ。
死にたい少女音乃と死神少年はプロローグを経て、あたしのルーズリーフのノートの中で、すでに冒険をはじめている。恋がしたいという音乃の願いを叶えるために、二人はさまざまな場所を旅する。星の砂がちらばる海の浜辺、異国風の提灯が立ち並ぶ街……それはきれいな場所を、たくさん。
文字がびっしり詰まったノートの上に、湯気といっしょにふわりと、ベリーの香りが充満する。
こまめな休憩は大事。
数秒間両手で包み込んだマグカップをそっとテーブルの上に置いた。
作業用に一本縛りにした髪をふたつにわけてきゅっとひっぱる。
野原花乃。中学二年生。肩までのちょっとくせのある髪はふだん学校では二つに結んでいる。自分の部屋の机に座っている今は、白いパーカーにジーンズという、平凡きわまりないファッション。そんなあたしにも一つだけ、特徴らしい特徴がある。
それは、少女小説家になるという夢だ。
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