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その歌は、親切な女の子に飼いならされて自分を猫だと思っているライオンが、ある夜獣の本能に目覚めて女の子をさらって食べたくなってしまうというもので。
彼が腰をくねらせるたび、手がしなるたび女の子たちの歓声が入って。
そして、問題は最後、二番のサビのあとだった。
紳士な上っ面の奥の奥
暴れ出した獣が牙を研ぐ
Madomoisel 奪い去りたい
かわいい子猫だと信じたきみのせい
親切に警告なんかはしないぜ
唇からきみごと
そこまで歌いあげた純はマイクを口に近づけて囁くように言ったんだ。
「飲み干したい」
大歓声の中、口を拭う動作をすると――。
なんと、着ていたスーツを脱ぎ捨てたのだ!
目を疑ってぱちぱちとしばたたいて。
瞬間、ぞくぞくっとみょうなものが背中を駆け抜けた。
「あんな不埒で大胆なダンス……。しかも途中で裸になって……」
そう思いながらも、どう表現したらいいかわらない魔力的ななにかを放射状に放っているような彼からあたしは目を離すことができなかった。
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