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あれから一週間しか経ってない今、彼を前にすると、あのときの自分が思い出されて、なんというかすごく気まずい。
触れられたとき、とっさに腕を振り払ってしまったのはこういうわけなんだ。
「上着を脱ぎ棄てる演出と言え。誤解を招きかねない発言すな」
わけを話すと、純はひとまずつっこみを入れて、やれやれと首筋をかいた。
「あんま言うなよ。歌うときはめちゃくちゃテンションあげてのってやってるけど、改めて普段映像とか見るとけっこー恥ずかしいんだからよ」
……あれ?
気まずすぎて両目を覆っていた手をそっとのけると、純はちょっとだけ恥ずかしそうにそっぽを見ている。
そうなのか。誘うように舞台上で人差し指をくいと曲げる姿を見て、てっきり純は女の子を誘い慣れているライオンなのかと思い込んでしまっていた。
イメージって、ライブコンサートって恐ろしい。
「ま、間違っちゃないけどな。だいたいが男なんてみんなそんなもんだ」
照れても否定はしないのか。
「じゃぁ、マーライオン。今日は、どこ行くの?」
「なんでマーがつくんだよ」
「ゴージャスな感じが出ると思ったんだけど」
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