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「そのまえに半分魚になってるだろ」
ふむ。シンガポールにある像はそんな姿だったか。
あたしにとってこのうえなくゴージャスな偶像は、口から水ではなく、呆れ交じりの笑いを吐いた。
「お前の好きなところかな」
と、そんなセリフが決まるのがちょっとおもしろくなくて、
「えー丸投げなのー?」
わざとすねた声を出してやると、あれと、純は彫刻のような造りの顔をかすかに歪めることで戸惑いを表現する。
「デートの行先を決めるとき、こう言えば女子はときめくって、バラエティーに出たとき先輩芸能人の人が言ってたのに。……外したか」
ぷっ。
そうかと思えばのぞかせる、ふつうの若者並みの思考に、なんだか笑ってしまう。
「どこでもいいの?」
「あぁ。男に二言なしってな」
「じゃぁ――」
ほんとうはずっと目論んでいた目的地を、期限付き契約カレシに、あたしは嬉々として告げた。
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