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Act7.初デートはホラーグッズショップ
小さな店は照明を抑えているのか、薄暗い。
そこここにかかっているクモの巣はまるで本物だ。
黒い垂れ幕でしきられた店内には、ガイコツのマスクやコウモリの標本を模したもの。
目から血がでている日本人形なんて、リアルなものもある。
「お前、いくらなんでも最初のデートにホラーグッズの店はねーだろ。……うげっ、今この血まみれの手、オレの肩に触ったぞ!」
純がびくっと肩をすくめる。
こんなに簡単に声が裏返るのは、アイドルとしてどうなんだろうか。
「純、こういうのだめ?」
「こういうとこに嬉々として来るやつの正気を疑う」
少し離れたカウンターにいる店員さんに気を遣ったのか小声でまくしたてる純に苦笑して、
「あたしも、ぜんぜん平気ってわけじゃないよ。ここに来たかったのは、こういうのが趣味だからじゃないんだ」
「そうか。あぁ、よかった」
今度は声がかすれてるけど、いったいなにがよかったんだろうか。
「なら一刻も早くここから去ろうぜ。呪い殺される前に」
「だめだめ。ちゃんと目的があるんだから」
純をひきとめて、あたしは言った。
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