Act7.初デートはホラーグッズショップ

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 数分後、試着室から出てきた彼を見て、あたしは唸った。  肩をいからせた真っ黒い革ジャン。   頭には棘のついたヘアバンド。 「どーでもいいけど、やけに攻めたファッションだな」 「うん。純が言うなら相当ってことだね」  それでも抵抗なく着てるあたり、いろんな衣装に慣れてるんだろうな。 「まぁな。キリンの長い首を頭の上につけた着ぐるみとか。上半身ほぼ透けてる、いったいどこがかっこいいのかわかんないライブ衣装だって経験してるし」  なぜか得意げに笑った顔が衣装に負けずにきちんと際立っているのがなんとなく癪にさわる。 「あたしのイメージする、死神少年のファッションを体現してみたんだけど。なるべくおどろおどろしいほうがいいよねぇ」  でもなんでだろう。  なんかこうしっくりこないんだよね。  あごに手をあててじっと見ていると、死神少年に扮した純が口を開いた。 「待てよ」  ギザギザヘアバンドの下の瞳が大真面目に問いかけてくる。 「あの小説のターゲット層は?」  え? と訊き返したのは、答えを持っていなかったからじゃない。 「特に読んでほしいと思う人の年齢や性別だよ」  予想以上の視点の的確さに目を見開いた。 「テレビドラマにも必ずある。大人の女性に見てほしい恋愛ものか。中高生女子なのか。おもに男性向けのアクションものなのか」 「もっ、もちろん設定してるよ! 小中学生くらいの女の子がきゅんきゅんできる、アイドルとの恋物語なんだ!」 「だろ」
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