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大きな目をきらりと光らせ、純は大き目の襟をひらひらさせてみせる。
「だったら、その死神の服装、そこまでごっつくていいのか。――主人公の相手役が」
「あ――」
そう。
小説を読み進めてくと、その正体はほんとうは死神なんかじゃなく、少年ロックバンド『デス・ゴッド』のメンバーだったってわかる。
主人公の音乃は彼に次第に惹かれていくんだけど。
「ヒロインの恋の相手になる人物なら、もっと女子受けする服装のほうが望ましくないか。しゅっとしたシルエットのパンツルックとかさ」
「た……たしかに」
じっさい、店を変えて純が自ら選んだ濃い紫のカーディガンと灰色のパンツで試着室登場すると、すんなりイメージが沸いた。
うん。こっちのイメージのヒーローのほうが断然、女の子読者は恋をしてくれそうな感じ。
「でも、彼はお話のさいしょでは死神って名乗るわけで。さわやかルックだと、死神っぽさがなくない?」
「まぁな」
顎に手の甲を当てて、さわやか純は少し考えて、
「もし、これがドラマだったとしたら。オレなら、小ざっぱりしたイメージを崩さず、アイテムで足したらどうかって提案するかな」
こんなふうに。
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