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服の名前もなにもかも、小説の勉強だ。
アウター、スラックス。
ゆっくり発音してくれるその音をなぞるように、メモ用紙の上をペンが滑っていく。気のせいかな。その感触がいつもより心地いい。
メモ用紙から上げた瞳と純の目がばっちりあって、ふいにそらした。それでも彼の瞳は揺らがない。
「まだ見ていくか。それとも次の取材先へ旅立ちたいか、大先生」
からかいを混ぜた優しげな語調が、あたしの中の何かを震わせる。
ふしぎだ。
二つの選択肢のどちらも抗いがたくきらきらして思える。
あたしの出した答えは、
「もう少し、ここで。もしよかったら、ファッションのこと、いろいろ教えて。服装の描写に生かしたいんだ」
渾身の力をふりしぼって――返ってきたのは。あれ? 今四方に星が飛んだ?
「任しとけ。これでも、仕事はきっちりこなすほうだからな」
否。アイドルのアイドルによる最高にアイドルアイドルしたウインクだった。
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