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Act8.アイドルと愛読書について語らいます
次に向かったのは町の本屋さん。
常に市場を見て、どんな作品が求められているのか研究するのも作家志望の心得なのだ。
向かうはもちろん、少年少女向けの本のコーナー。本棚の下に備え付けられた膝小僧ほどの高さの棚に、いろんな作品の主人公たちが描かれたイラストがずらりと並べられている。
バトルものの主人公の男の子。かわいいワンピースを着た女の子。いろんな物語から主人公が勢ぞろいしたその棚は色とりどりの宝石箱みたいだ。
そんな中、あたしはある一冊に目をとめた。
制服を模した華やかな衣装に身を包み、マイクを握る二人の女の子が描かれた表紙。
親友コンビがアイドルを目指す青春ものだ。
この本、二週間くらい前に買って読んだんだけど。
性格も雰囲気も対照的な二人がそれぞれ問題をかかえながらがんばってトップアイドルを目指す姿に感動した。
でも。
ちら、と棚にじっと視線を注いでいるとなりの彼を窺う。
こういうの、じっさいのアイドルの生活を知っている純が読んだらどう思うんだろうな、とふと思ったのだ。
「よく調べて書かれてたよな」
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