Act8.アイドルと愛読書について語らいます

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 まるで心の声に答えるように彼が言った言葉にびくっと心が跳ね上がる。 「とくに、親友ばかりが人気が出て自分は思うように売れなくて、芸能界をやめようかと思う主人公の葛藤とか。親友は親友であまりに洗練されていくんで、つきあってた彼氏が距離を感じてしまう展開とか」  そういえば、恋愛小説を読んでるって、彼がコンサートのトークでも言っていたことを思い出す。 「そうそう、そこすごい切なかった! カレシは言うんだよね。『きみはもう、僕だけのものじゃない。自分で大きなステージと観客を勝ち取ったきみに、僕はそれ以上の幸せをあげられるのかな……』くーっ」  本のこととなると熱く語ってしまうのはあたしの癖だ。 「あー、あったあった。そんな場面。ちょっと情けない気もするけどな。男だったら、世事辛い芸能界なんかより、オレのとこに来た方がよっぽど幸せになれる、くらいのことを言えってんだよ」 「ルウナちゃんのカレシは繊細なジェントルマンタイプなの! そこがキュンポイントなの! あぁ、現実の男の人もこれだけ謙虚で優しかったらいいのに!」  やばい、とまらない。 「誰かさんみたくでかい態度じゃなくって」
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