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Act2.勉強会
「えー、なにそれすごいじゃん」
萌黄色のソファにだらりともたれた夏陽が、クッキーを片手に興奮した声をあげた。
それにならって、低めのテーブルの上にあるクッキーに手を伸ばしながら、深くうなずく。
「うん。サイトで誰かが小説の感想くれたの初めてだったから嬉しかった」
夏陽がさくさくっとリズミカルにクッキーをかみ砕いて、ソファにダイブした。
腰まである長い髪とくりくりした大きな目が特徴の親友、夏陽宅で、ただいま勉強会が催されている。というわけで、テーブルの上のクッキーの横には、一応英語の教科書と参考書が置かれている。
テレビもお菓子もありな勉強会はうちか夏陽の家で不定期に開催されるけど、いつもだいたいろくに進まない。
「花乃の小説、おもしろいもんね」
せっかくのきれいな髪をソファに惜しげもなく散らして、にっと夏陽が笑う。
「今回のはとくに」
「えっ、そ、そう?」
クッキーにのばした手を思わずひっこめる。
「うん。出だしがいいよ」
「……」
リビングのわきの本棚に視線はそらしたものの、ちょっとだけにやけた顔はごまかせただろうか。
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