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家族みんなの蔵書が集中しているという夏陽宅の本棚には、外国のファンタジーや高校生の胸キュンものもそろっている。
本好きの夏陽は、たまにあたしの小説を読んでは感想をくれる。
小説を書いていることを打ち明けている唯一の親友だ。
「ほんと? そこ自分ではどうかなって思ってたんだよね」
死にたがる女の子がいきなり登場するなんて暗すぎるかなって、考えていた。そう伝えると夏陽はかじりかけのクッキーを持ったまま身体を起こしてうーんとうなる。
「それはたしかにそう思う人もいるかもだけど。でもあたしは読んでて、思ったの。
この子、これからどうなるの? さきを知りたいって」
「そっかぁ……」
パンチがいまいちとか、もっとハラハラしたかったとか、いつもあたしが書いた小説の感想を正直に言ってくれる夏陽に褒められると嬉しい。
そしてつい、調子に乗る。
「ねぇ、具体的にどのへんがよかった? そこんとこもっと詳しく――」
そのとき、大画面のテレビから、華やかなヴァイオリンの前奏が流れてきた。
「あっ!」
夏陽の目の色が変わって、わざわざソファから降りて画面にかじりつく。
夏陽も大好きな大人気高校生男子アイドルグループ『エクレール』のメンバーが出演しているスニーカーのCMだ。
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