1F原発復旧3号機カバー酔夢譚

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3号建屋のドーム建設は2011年6月にJVとして立ち上がった。JVとはジョイントベンチャー、共同事業体といって、今回は大手ゼネコン6社の共同企業体で、幹事企業は鹿山建設だった。作業を請け負う下請け企業も決まって、いわき市内の作業員用プレハブの宿舎も完成した。しばらくは調査目的で原発構内に入り作業計画を立ててゆく。  3号機のオペフロ、原子炉建屋の最上階、使用済み燃料プールのある壁や天井は水素爆発で吹っ飛んだ。原子炉圧力容器を囲む原子炉格納容器とそれを囲むコンクリート建屋、そこまでは頑丈に作られているが、その上のオペフロは鉄骨梁にコンクリートの壁材を張り付けたものだった。水素爆発では簡単に破壊され、骨組みの鉄骨は恐竜の背骨のように折れ曲がっていた。オペフロの壁材はいったん垂直に吹き上がったあと粉々になって落ちた。無残な残骸というしかない。  オペフロ壁材は板材を重ねたもので原子炉までの壁材よりは爆発には弱いので、爆発の際に吹き飛ぶようになっていた。逆に言えばオペフロ壁材破壊で吹き飛んだことにより原子炉建屋には応力がかからず守られていた。
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