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「行動しねぇと、願望って叶わないんだぜ?」
「……っ、知ってる、けど」
「じゃあお前は行かなきゃだめだ」
柿田は珍しく真面目な顔で続ける。
「宗田の想い人がどんな人かとか、どうして会えないのかとか知らんけど……そんな思い詰めた顔してんだったら、ちゃんと会いに行ったほうがいいと思うぜ」
「それ、俺も思う」
亀広も大きく頷いた。
「ほんとは俺たちだって、太地のこんな話を聞けて嬉しいし、思いっきり揚げ足取ったり、からかったりしたいんだよ!」
「お前サイテーだな!」
「でも、できないんだよ!」
俺のツッコミに被せるように、亀広が言った。
「だってお前の今の心境とかって、色々とガチなやつだろ?」
「ガチとか、違うとかあんのかよ……」
俺はそう呟いたあと、ふと聞いてみる。
「え、待って。二人してそんなに言うって……俺、そんなにひどい顔してた?」
「うん、してたな」
「明らかにしていた」
「からかえないくらい落ち込んでるように見える」
まじかよ。俺は苦笑いする。
「んじゃあ、決定だな」
亀広が言った。
「俺たちは来たる修学旅行で一緒に回る! そして必ずや太地と想い人の再会を実現させる!」
想い人って――。さっきからその表現、ずっと恥ずかしかった。でも、そのとおりだとも思う。
俺はサワメのことを、想ってしまっているから。
「よし」
柿田が俺の手を取った。
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