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どうなるんだか、と他人事のように考えていた八尋のスマホが机の中で震える。
『やぴろ今年も演劇の裏方やる?よね』
『俺も今年は参加することになたよᴖ ̫ᴖ 』
『体育館でバスケし放題~~笑笑』
別のクラスになった友人、篠山悠太からのメッセージだった。
調子に乗っているこの男に今年は参加しないことを教えなければ、そう思いメッセージアプリのパスコードを開こうとすると、手元に影が落ちる。
「まだ授業中だぞ野沢」
担任が横に立って八尋の顔を覗き込む。
慌ててスマホを机の中に放り込み俯いた。
「去年参加した君らがやってくれれば丸く収まるんだがな……」
担任の声に同調するように頷くクラスメイトもいた。ちとせは去年負った怪我を理由に担任の圧力を交わしている。怪我なんて本人はたいして気にしていないくせに。仕方ない、と思わせるのが得意な世渡り上手だ。
「野沢は理由があるのか?部活も運動部じゃないよな」
「ま、まあ、はい」
苦し紛れにロミオとジュリエットに興味が無いと告げたが笑いすら起こらず静まり返り、最低な空気が数分続く。
「わかりました、わかりました!やりますよ」
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