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「誰と誰がコミュニケーション不足だって?」
いつの間にか二人は、ちとせのいる教室の前まで戻って来ていたのだ。
「新島くん……」
柚希は本日二度目の動揺を見せながらも、ちとせの顔を穴が空くほど見つめる。
「あんた、俺の顔じっと見るよね」
「あ、あ、ごめんね、新島くん……」
柚希は慌てて目を逸らした。
八尋はといえば、二人のそのやり取りを見て妙な違和感を覚え顔をしかめる。
「その手、さっさと離せば?」
ちとせのロボットみたいな視線がこちらを向いたので、慌てて柚希の腕を離した。
「で、佐藤さんはどこまで聞いてるの?」
「え?」
「八尋が俺のこと大好きって事、ずっと知ってたんだろ?」
平然と言ってのけるちとせを前に、二人は言葉を失いその場で立ちつくし、顔を見合せた。
もはやその態度が答えになっていると気が付かずに。
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