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「茶道部の部活の後輩」
「え、野沢くんて茶道部なの!?」
耳打ちすると、柚希は少し興奮気味に目を見開きそう言った。
「たまにしか顔出さないけど」と続けると、この場を仕切っているらしい翔にやりたいかどうか全員の前で問われる。八尋は申し訳ない表情で首を横に傾げて見せた。
それに負けじと声の主は再び口を開く。
「オリジナル脚本としてアレンジを加える中でティボルトとマーキューシオ役は元々仲の良い野沢先輩と篠山先輩がいいと思います」
「あ、私もお2人が一緒だと心強いし、絶対におもしろくなると思います!」
推薦者に続き久城玲奈が手を挙げる。
急に名前を呼ばれた悠太は状況がいまいち理解できていない様子だった。
「待って待ってめちゃくちゃ推されてるけどなんで?」
柚希が再び小声で尋ねてくる。
「いや、俺が聞きたいんだけど……」
悠太と目線が合い、困ったように眉をひそめあう。
「なんにせよ各学年からバランス良く役者を募らないといけなかったから、他に立候補者がいなければ2人に検討してもらいたいな」
そんな八尋たちの表情が見えていないのか翔は毅然とした様子で言う。もちろん立候補者はいない。現3年は明るく派手な人が多いが2年は覇気のない人物が多い。
「野沢くんいいの?このままだとティボルト役やることになっちゃうよ?」
「ごめん佐藤さん俺台本も見てなくてさ、ティボルト?ってのはどんな役なの……?」
「ティボルトはジュリエットのいとこ。ロミオの親友を殺しちゃって、怒ったロミオに復讐されて命を落とす役。ちなみにマーキューシオはロミオの親友」
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