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震えが止まらない
玄関で彼氏とデリバリーのお兄さんが言い争っているみたいだ。ちょっと様子を見に行くべきだろうか?
「芽依、こっちに来ないで! デリバリーの人じゃなくて不審者だったんだ!」
えっ、不審者?どういうこと?
「健介、大丈夫? 警察に通報する?」
その時だった。聞き覚えのある声が耳に届いた。
「棚野芽依さん! 坂畑公誠です、本屋でよくお会いしていましたよね?」
体の奥深い所から震え上がるのを感じた。震えが止まらない。どうしよう、何でこんなことになったの……
「芽依、早く電話して! この人、力が強くて押し戻せそうにない……」
私は急いで警察に通報した。震えながらスマホを操作していたのだが、今にもあの男が家に入ってくるのではないかと気が気ではなかった。
「芽依さん、こんな男じゃなくて僕と付き合いませんか? それより早く玄関に出てきてくれませんか?」
健介も危ない状況だから助けに行かなければと思うが、足が震えて前に進めない。どうしよう、どうしよう。
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