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何も悪くない
しかし、私の体の震えが止まらなかった。何でこんな目に遭わなくちゃいけないの、私何か悪いことでもした?
「芽依、大丈夫だよ。もうあいつはいなくなったからそんなに怖がることはないから」
「あの人、最初に会った時から私に目をつけているみたいだった。あの時無視すれば良かったの? もっと尾行に気を付けていれば良かったの?」
「僕が悪かった。デリバリーのお兄さんと勘違いしてオートロックを開けてしまったのが1番ダメだったんだ」
「そんな、健介が謝ることなんてないの。私が注意不足で、あの人に隙を与えてしまったんだと思う」
「芽依は何も悪いことなんてない。悪いのは全部あいつなんだ。ストーカー行為なんてして、警察に捕まったのも当たり前だ」
「うん……」
「もうこのマンションからは引っ越して一緒に住もう? ずっとは守ってあげられないけど、今までよりもっと一緒にいられるし、何より芽依をこれ以上危険に晒したくないんだ」
「ありがとう、私ももう怖くてしょうがないよ……」
この事件が起こった2週間後、私はこのマンションから引っ越して彼氏と一緒に住むことになった。それでもあの人がまた現れたらどうしよう、ストーカーされたらどうしようという思いは消えず、時々震えてしまうのだった。
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