再会

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再会

 次の日の朝、通勤しながら私は昨日本屋で会った男の人のことを考えていた。いきなり話しかけてきて内心驚いたけど、どんな人なんだろう。スーツを着ていたし、顔も悪くないし、年も私と同じくらいだと思うけど。  今日も春夏秋冬に寄ってから帰ろうかと考えつつ、黙々と仕事を片付けることにした。  春夏秋冬に着くと、昨日より人が多いことに気付いた。金曜日だからかな、仕事が早く終わった人が多いのだろうかとか考える。  昨日と同じように新刊コーナーに行くと、昨日話しかけてきた男の人はいなかった。少し安心して本のカバーに目を通していると、隣から声をかけられた。 「昨日もここで会いましたよね? そうだ、このミステリー小説買っておられましたよね」  急に話しかけられたものだから少し後退りしてしまった。 「ああそうです。昨日お話しましたよね」  少し強引じゃないかと思いつつ、愛想の良い顔を繕うことにした。 「今日もお話できて良かったです。是非この本を読んでみて下さい。シリーズものなのですが、僕のイチオシです」  そんな風に勧められると読まざるを得ないじゃないかと内心思いながら、その本を手に取った。  例の男の人はまだ本に集中しているみたいだったので、私は少し本を読んだ後すぐに書店を出たのだった。  
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