4人が本棚に入れています
本棚に追加
改札
私はしばらく春夏秋冬には行かないことにした。何と言っても坂畑さんに会うのが嫌だったのだ。もうされているのだろうけど、もしまたストーカーとかされたらどうしようなどと考えてしまう。
そもそも何で坂畑さんに目をつけられてしまったのだろう。できればしばらく会いたくないな。
仕事が終わるとすぐに帰ることにして、駅まで早足で歩いた。そして駅の改札に着いた時だった。私の肩に誰かの手が触れたのを感じた。背筋がぞくっとしてすぐさま振り返った。
「棚野さん、いつも仕事はこの時間に終わるんですか? 今日は何で春夏秋冬に来なかったんですか?」
咄嗟の反応だったので、坂畑さんに対して少し嫌悪感の混じった瞳で見てしまった。
「坂畑さんこそ何でここにいるんですか? すごく驚いたんですけれど」
「いや、棚野さんと話したかっただけです。あと、これ僕の連絡先です。棚野さんのも教えてもらえませんか?」
「あ、えっと、ごめんなさい。今スマホ買い替えたところで、色々と変更したので……」
見え透いた嘘だがどうしても連絡先を交換したくなかったのだ。
「わかりました……じゃあ連絡くれるのを待ってます」
「はい、ではまた」
私は少し嫌な予感がしたのだが、特に何をすることもなく帰宅した。
最初のコメントを投稿しよう!