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「だがお前には、それを補って余りある技術がある。 超高精細な付与魔術を始め、魔術構築プログラミング。 他の者では再現不可能な特殊な呪具の開発に、誰も為し得なかった術式による人工知能の組み込み。 中でもお前が作った人工知能のアリスは、唯一無二の存在だ。 お前が技術部から去って五年経つが、未だアリスは現役。 最早あれ無しでは、新魔術の理論構築と高度な呪具の開発は不可能になってしまった。 情けない事にな」
「そう言ってくれるのは嬉しいが、俺は……」
「急いで結論を出す必要はない、宗十郎。 時間はたっぷりとある。 ゆっくり考えると良い」
…………。
「……では、わたし達はここで失礼するとしよう。 邪魔をしたな」
「んじゃな、宗十郎ちん! そのうち仕事持ってくから、また一緒に仕事しようぜー!」
「自分もその時を楽しみにしている」
そう言って、三人はお惣菜コーナーに消えていった。
カッコつけて去っていった癖に、お惣菜コーナーで半額商品を取り合う光景のなんとシュールな事か。
あれが、魔術師なら誰もが憧れる特級魔術師の真の姿だと言うのか……。
虚しさを禁じ得ない。
写真撮っとこ。
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