地獄谷カレー

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 カレードリンクは火にかけた様にボコボコと煮立っていた。 「あちっ」  通行人が頬を押さえてこちらを睨んだ。 「えっ、マジで? すんませーん」  通行人は憤慨しながら雪をつまみ、頬に当て冷やしながら去って行った。 「こえー、大丈夫かこれ飲んで」  それでもしばらく待っていると、カレーは次第に大人しくなった。 「よ、よし」  一口飲むと、喉が燃える様に熱い。しかも妙なことに尻も熱い。 「ん? いや、美味いな」  複雑な香辛料と野菜の甘みが絶妙に合わさった美味いカレーだった。そして、あとから来る辛味が全身を温めるどころか燃えるように熱くする。何なら、汗をかいて放っておくとやばい気がする。 「地獄谷ってやつは、相当つえーんだな」  おじさんをちょっと尊敬する。
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