3613人が本棚に入れています
本棚に追加
どのくらいそうしていただろう。
私たちは立ったまま、優しく触れる互いの温もりに愛を感じていた。
けれど、それは徐々に激しさを増してゆく。
触れるだけの温もりでは足りなくなり、互いの唇をついばんだ。それでも足りなくなり、互いの舌を絡めあった。
何度も一騎さんとは、キスを交わした。
けれどもこれは、そのどれよりも、一番幸せなキス。
どうしてだろう。
お互いの気持ちが通じ合って幸せなのに、どんどん欲張りになっていく。
もっと触れて欲しい。
もっと愛して欲しい。
そう胸が痺れ、身体が快感を求め始める。
「んん……」
キスの間に息を漏らすと、それをも奪うように一騎さんの唇が重ねられる。
優しく、ゆっくりと、けれどそれは、私の思考を、全部蕩けさせてしまう。
「一騎さん、……もっと――」
キスの合間にそう言うと、身体が急にふわんと浮いた。
そのまま私は横抱きにされ、廊下の奥へと連れて行かれる。
そしてそのまま、ベッドルームへ入ると、広いベッドに優しく身体を下ろされた。
一騎さんは自身の上着を脱ぎ捨て、ネクタイを解く。
そしてそのワイシャツのボタンを剥ぐように取ると、さっさと自身のシャツを取り去る。
暗闇でも分かる、その男らしい広い胸板に、私の心臓がうるさいくらいに高鳴る。
それから一騎さんは、ベッドに沈む私についばむようなキスを何度も落とす。
「うん……ふっ……はぁ」
その温かいキスに、ジワジワと身体が疼きだす。
好きだ。幸せだ。
そんな想いが溢れて、私は一騎さんの広い背中に手を回す。
初めて触れたその肌に、吸い寄せられるように手が動く。
すると、一騎さんの手も優しく私の背中を撫でる。
そのまま、するりとドレスを剥がされ、彼の指が私の全身を這う。
「ああ……ん」
満たされた気持ちで触れられれば、心も繋がるようで。
触れられた所が熱くなって、もっともっと彼を欲してしまう。
「一騎さん……好き……」
キスの合間にそう言えば、今度は耳にも首にも噛みつかれる。
「蘭……好きだ」
そう耳元で囁かれ、身体も心も満たされていく。
「ねえ、もっと……シて?」
潤んだ瞳でそう乞うと、今度は彼の手が私の敏感な所をなぞり――
「ああん!」
――優しく蕩けるように、私の中に熱いものが差し込まれる。
そのまま、私は想いを伝えるように、そして彼の想いを受け取るように、ゆっくりと一つに溶け合っていった。
最初のコメントを投稿しよう!