6ー4 契約満了

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 どのくらいそうしていただろう。  私たちは立ったまま、優しく触れる互いの温もりに愛を感じていた。  けれど、それは徐々に激しさを増してゆく。  触れるだけの温もりでは足りなくなり、互いの唇をついばんだ。それでも足りなくなり、互いの舌を絡めあった。  何度も一騎さんとは、キスを交わした。  けれどもこれは、そのどれよりも、一番幸せなキス。  どうしてだろう。  お互いの気持ちが通じ合って幸せなのに、どんどん欲張りになっていく。  もっと触れて欲しい。  もっと愛して欲しい。  そう胸が痺れ、身体が快感を求め始める。   「んん……」  キスの間に息を漏らすと、それをも奪うように一騎さんの唇が重ねられる。  優しく、ゆっくりと、けれどそれは、私の思考を、全部蕩けさせてしまう。 「一騎さん、……もっと――」  キスの合間にそう言うと、身体が急にふわんと浮いた。  そのまま私は横抱きにされ、廊下の奥へと連れて行かれる。  そしてそのまま、ベッドルームへ入ると、広いベッドに優しく身体を下ろされた。  一騎さんは自身の上着を脱ぎ捨て、ネクタイを解く。  そしてそのワイシャツのボタンを剥ぐように取ると、さっさと自身のシャツを取り去る。  暗闇でも分かる、その男らしい広い胸板に、私の心臓がうるさいくらいに高鳴る。  それから一騎さんは、ベッドに沈む私についばむようなキスを何度も落とす。 「うん……ふっ……はぁ」  その温かいキスに、ジワジワと身体が疼きだす。  好きだ。幸せだ。  そんな想いが溢れて、私は一騎さんの広い背中に手を回す。  初めて触れたその肌に、吸い寄せられるように手が動く。  すると、一騎さんの手も優しく私の背中を撫でる。  そのまま、するりとドレスを剥がされ、彼の指が私の全身を這う。 「ああ……ん」  満たされた気持ちで触れられれば、心も繋がるようで。  触れられた所が熱くなって、もっともっと彼を欲してしまう。 「一騎さん……好き……」  キスの合間にそう言えば、今度は耳にも首にも噛みつかれる。 「蘭……好きだ」  そう耳元で囁かれ、身体も心も満たされていく。 「ねえ、もっと……シて?」  潤んだ瞳でそう乞うと、今度は彼の手が私の敏感な所をなぞり―― 「ああん!」  ――優しく蕩けるように、私の中に熱いものが差し込まれる。  そのまま、私は想いを伝えるように、そして彼の想いを受け取るように、ゆっくりと一つに溶け合っていった。
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