ポケットの中のお菓子は幸せの香りがする (ポケットの中)

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 桂ちゃんが光井の背中を見なが言う。  「光井くんは、いつも賑やかだなぁ」  「ああ、そうだな」    桂ちゃんが思い出したように聞いてきた。  「そのお菓子、誰がくれたのか……、中居は知っているの?」  「さぁ、分かんないなぁ」  「そうなんだ」  桂ちゃんが朝音(アオ)の目を見る。  「全然心当たりはないの?」  「そうだなぁ。こんなかわいい袋に入れて、俺のポケットにこっそり入れる女子だろう?」    朝音(アオ)は答えを考えながら、マジマジと桂ちゃんの顔をみる。  「コートは教室の後に掛けてあったから、クラスの女子だとは思う。他所のクラスの女子が、俺の教室にわざわざ侵入して、お菓子を入れたら目立つからな」  桂ちゃんが頷く。  「そうだね」  朝音(アオ)が女子の名前を上げる。  「こんな可愛い事しそうなのは……。吉田さんかなぁ。もしくは……中島さんかな?」    桂ちゃんが朝音(アオ)から視線を外した。そしてまっすぐ前を見てしまう。だから、朝音(アオ)には桂ちゃんの表情が良く分からない。ただ何か考えているのは分かった。  「そうかぁ……。ねぇ、中居はぁ……」    いきなり桂ちゃんがニヤニヤしながら朝音(アオ)に顔をむけた。  「吉田さんとか、好きなの?」  朝音(アオ)は自分が、一瞬で熟れたトマトみたいに赤くなったのが分かった。  「赤くなったぁ。好きなんだぁ」  「チゲーよ。急に変な事を聞くからだよ」    動揺する朝音(アオ)を見て、桂ちゃんがもっとニヤつく。  「そっかぁ。中居も、可愛い女の子が好きなんだ。吉田さんって小柄で可愛いもんね」  「可愛い女の子が嫌いな男なんていないだろう」  「まぁ、たしかにね。じゃ、私、スポーツ店に寄るから」  「ああ、またな」  「うん、明日、学校でね」    
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