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その夜、朝音はベッドの上でおっぱいキャンディーを眺めた。
キャンディー以前にポケットへ入れられていたお菓子も並べてみる。
朝音は独り言を言う。
「このお菓子のラインナップがさぁ」
朝音はお菓子を入れた者の正体が分かっていた。
(お菓子なんかこっそり入れて、どういうつもりなんだろう? まさかな。そんなはずないよな。女ぽさ少ないけど、気さくで、何気モテるし。結構人気あるし)
朝音はお菓子をひとしきり眺めて、それからベッドの横の小さなテーブルに置いた。
そしてまた考える。
(しかも、かまかけられた。からかわれているんだろうか?)
朝音は思う。
(俺の事なんて幼友達にしか思ってないはず)
そして悲しい気持ちになる。
次の日、教室に入ると、しょうもない出来事が起こっていた。
黒板にデカデカと書かれていたのだ。
――おっぱいキャンディ。俺にもください――
――中居くんだけにあげて、ズルいです!――
そして大きなおっぱいをぶら下げた牛の絵が描いてあった。
朝音は登校していたクラスメートの顔をみる。
既に大半のクラスメートが登校していた。
クラスメートの視線が、教室の入り口に立った朝音に集中した。
朝音は光井を探す。光井は自分の席に座って、朝音を見ていた。光井と朝音は目が合う。光井の顔がクシャッとなった。
そして両手を合わせて、口が動く。
たぶんゴメンって言ったんだと、朝音は思った。
朝音は慌てて黒板に向かった。
そして黒板の前まで行くと、黒板消しを手に持って、必死で消し始めた。
すると、桂ちゃんもやってきて、一緒に黒板の文字や絵を消してくれた。
朝音が小さく言う。
「ありがとう」
桂ちゃんが黒板消しを動かしながら言う。
「災難だね」
そこに光井も、後の黒板に置いてあった黒板消しを持参して、文字や絵を拭き始めた。
「悪い。つい男子にお菓子の話しちゃって。そしたら、健吾が面白がってさぁ。止められなかった」
朝音は言った。
「もう、良いよ」
でもその実思う。
――あまり良くはない――
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