尋ね人

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私は椅子に座ると、それを一気に飲み干す。 「ああ、生き返る。」 「そりゃあ、そうだろうよ。こんな暑い日に、のこのこ外を歩いて。もう爺さんなんだから、あんまり無理はしないでおくれ。」 「そうだな……」 そう言って、遠くを見つめる私を見て、女将は言った。 「なんか、あったのかい?爺さん。」 「ん?ああ…」 私はそこで、この店にやってきた理由を、話し始めた。 「女将は、そこの会社の社長を、知っているかい?」 「あの大きな建物のかい?あの会社を知らない人なんて、この町にはいないよ。なんたって、みんなあの会社の、世話になってるんだから。」 女将はそう言うと、私の向かいの席に座った。 「ああ、それでね。そこの社長さんなんだがね。つい先日に、亡くなられたんだよ。」 「ええ!冗談だろう?あそこの社長は、まだ50歳前じゃないか。」 同じ年代の、しかも金持ちの社長が亡くなった事に、女将はひどく驚いているようだった。
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